2000年代半ば、お笑い界は空前のブームに沸いていた。その中心にあったのが、テンポよくフレーズを繰り返すリズムネタの数々だ。コウメ太夫が所属するソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)のお笑い部門もまた、エキセントリックで強烈な個性を放つ芸人たちを多数排出し、独自の勢力を築き上げていた。
しかし、ブレイクの波が去った後の反動は苛烈を極めた。毎日のようにテレビ局を移動していた多忙な日々から一転、オファーが急減する現実に直面する。周囲からは過去の人として扱われる焦燥感もあったが、彼は事務所の自由な風土の中で静かに次の手を模索していた。芸を捨てることなく、むしろその異質さを研ぎ澄ませていく時期となったのである。