ネット検索やSNSで頻繁に見かける「皇室のおせち弁当」という言葉ですが、結論から言えば、宮内庁が一般消費者向けに「皇室特製おせち弁当」を直接販売している事実はありません。宮中で調製される正月料理は、国家や皇室の伝統儀礼に直結する極めて私的かつ神聖なものだからです。
世間で「皇室のおせち」として話題に上るものには、大きく分けて2つの側面が存在します。1つは、宮内庁大膳課(だいぜんか)の料理人が伝統の作法に則って調進する、天皇陛下や皇族方の本物の新春祝膳。そしてもう1つが、皇室への納入実績を持つ老舗料亭や、かつて宮内庁御用達の指定を受けていた名門が手がける一般購入可能なおせち重箱・祝膳弁当です。
後者は、宮中の美意識や伝統的な調理技法を忠実に受け継ぎ、新春にふさわしい最高級の食材を用いて仕立てられています。これらが百貨店や名店の特別企画として登場することで、「皇室ゆかりのおせち」として広く親しまれています。