ドラッグストアで手軽に買えるツムラやクラシエの葛根湯は、日本の家庭薬として圧倒的な知名度を誇ります。しかし、漢方薬局や医療機関の現場では「のどが激しく痛む状態で葛根湯を飲み続け、さらに腫れがひどくなった」と訴える受診者が後を絶ちません。これには東洋医学における明確な理由が存在します。
漢方医学では、風邪の邪気(病邪)を大きく「風寒(ふうかん)」と「風熱(ふうねつ)」の2種類に分類します。
葛根湯は、葛根(カッコン)・麻黄(マオウ)・桂皮(ケイヒ)など「体を温めて血管を拡張し、発汗させて邪気を追い出す」生薬で構成されています。つまり、寒気が主体の「風寒」に劇的な効果を発揮する処方です。一方で、のどが赤く腫れて熱を持っている状態は、体内に熱がこもる「風熱」の典型例です。火が燃え盛っているのどの粘膜に、体を温める温熱性の生薬を投入すると、火に油を注ぐ形となり、炎症や痛みをさらに強めてしまうのです。