病原体によって感染経路は厳密に決まっており、すべてのウイルスが空気感染するわけではありません。むしろ、真の意味で空気感染を起こす病原体は極めて限定的です。
空気感染する病気一覧として医療現場で厳重に警戒される代表格は、以下の3つです。
・麻疹(はしか):感染力が極めて強く、同じ空間にいるだけで免疫がなければほぼ確実に感染する。
・結核:結核菌が飛沫核となって肺の奥まで到達し、慢性的な感染を引き起こす。
・水痘(水ぼうそう):水痘・帯状疱疹ウイルスが空気中を漂い、広範囲に感染を広げる。
一方で、冬場に猛威を振るうインフルエンザの感染経路は、主に「飛沫感染」と「接触感染」です。患者の咳やくしゃみの飛沫を直接吸い込むか、ウイルスが付着したドアノブなどを触った手で目や鼻を触ることで感染が成立します。一般的なオフィスや家庭内において、インフルエンザウイルスが長距離を自力で浮遊して感染を広げるケースは基本的になく、近距離での曝露が主因となります。
接触感染・飛沫感染・空気感染の違いを整理すると、以下の通りです。
・接触感染:皮膚や粘膜の直接接触、または汚染された物体を介して侵入(アルコール消毒・手洗いが有効)
・飛沫感染:1〜2m以内の距離で飛び散る湿った粒子を吸入(不織布マスク・対面距離の確保が有効)
・空気感染:水分が蒸発した微粒子が気流に乗り広範囲に拡散(N95マスク・陰圧換気室が必須)