被害に遭った直後の数分間が、その後の回復曲線を大きく左右する。患部を掻きむしる行為は、毒素を組織深部へ拡散させ、黄色ブドウ球菌などの二次感染を招く最悪の選択肢だ。
携行品の中で真っ先に手を伸ばすべきはポイズンリムーバーだ。噛まれた直後(できれば2〜3分以内)に患部へシリンダーを密着させ、陰圧によって唾液成分や毒素を体外へ吸い出す。これだけで翌日以降の腫れと痒みの度合いが劇的に軽減される。その後、冷水や流水と石鹸で患部を徹底的に洗浄する。洗い流すことで皮膚表面に残る毒素と細菌を物理的に除去できる。
その後の投薬について、日本皮膚科学会の虫刺症診療ガイドラインでは、強力な抗炎症作用を持つステロイド外用薬(ベリーストロングクラスなど)の早期塗布が推奨されている。市販の弱めな痒み止めではブヨの強烈なアレルギー反応を抑え込めないことが多い。腫れが広範囲に及ぶ場合や水疱が形成された際は、自己判断で放置せず直ちに皮膚科専門医を受診し、抗ヒスタミン薬やステロイドの内服治療を受けるのが鉄則だ。