最新の発見や研究成果を一般社会へと還元するフロントラインとして、世界の主要な研究機関や博物館が果たす役割は極めて大きい。東京・上野の国立科学博物館では、化石標本のデジタルツイン化が進められており、展示室のガラス越しでは決して見ることのできなかった骨格の裏側や微小な傷痕までを、高精細3Dデータとして一般に開放する取り組みが活発化している。
一方、アメリカのワシントンD.C.に位置するスミソニアン博物館でも、化石の保存修復作業と研究プロセスそのものをリアルタイムで一般公開するオープンラボ形式が定着した。研究者がマイクロドリルを振るい、数億年前の岩石から繊細な骨を切り出す息遣いを間近で感じられるこの空間は、学術研究の最前線が単なる過去の遺物整理ではなく、動的な科学の現場であることを力強く証明している。