塀の向こうからどうやってインターネット上に文章を投稿しているのか。疑問を抱く人は多い。種明かしはシンプルだが、手間暇がかけられている。木嶋佳苗本人が東京拘置所の便せんに細かい文字でため込んだ手記を、郵送で外部の友人や支援者に送り、それを代行者が忠実にデジタル入力してブログにアップロードする形式だ。
検閲を通過した手紙だけが外に出るため、拘置所のルールに抵触するような露骨な内部批判や違法な記載は除外される。しかし、彼女の手紙は日常の些細な献立へのこだわり、接見に訪れる人物への批評、さらには独自の恋愛観や美意識で埋め尽くされている。2026年現在も、その便せんによる手記の発信システムは途絶えることなく機能しており、死刑囚の「現在進行形の日常」を届ける異例のメディアとして機能し続けているのだ。