彼女の俳優としての評価を決定づけたのは、松本壮史監督とタッグを組んだ傑作『サマーフィルムにのって』だった。時代劇オタクの女子高生「ハダシ」役。泥臭く、青臭く、映画への偏愛を叫ぶその姿は、従来のキラキラした青春映画の定型を鮮やかに打ち砕いた。
映画への執着と、終わりゆく夏への焦燥。伊藤が放ったあの剥き出しの熱量は、日本映画批評家大賞をはじめとする数々の映画賞で新人女優賞を総なめにする快挙へと結実する。ただ可愛いだけではない、狂気と情熱が同居する彼女の瞳に、映画ファンは新時代の表現者の誕生を確信した。