六代目山口組の権力構造を語るうえで、弘道会の存在を切り離すことはできない。2005年に六代目組長へと就任した司忍(本名・篠田建市)組長と、その右腕として組織の実権を握り続けてきた高山清司若頭。二人が築き上げた統制モデルは、それまでの暴力団運営の常識を根底から覆すものだった。
「信賞必罰」の徹底と上意下達の組織ピラミッド。かつての牧歌的な親分・子分関係を排し、徹底した規律と情報保全を義務付ける手法は、さながら軍隊や巨大複合企業を彷彿とさせる。特に高山若頭の類いまれな組織管理能力は、直参組長たちを恐怖と冷徹な人事権で束ね上げ、弘道会支配体制を盤石なものとした。
だが、その強烈な求心力と統制こそが、後の組織分裂を引き起こす火種となったことも歴史的事実である。ツートップ体制が円熟期を越え、次なる体制への移行期にある現在、彼らが築いた支配機構がどのような変容を迫られているのかに注目が集まっている。