かつて地域を代表した名門旅館であっても、時代の変化に取り残されれば資金繰りは一気に悪化する。ここで威力を発揮するのが、星野リゾートが誇る独自の事業再生ノウハウだ。買収後に最初に着手されるのは、既存のスタッフを解雇して入れ替えることではなく、徹底的な現場の意識改革とオペレーションの効率化である。
一人のスタッフがフロントから調理アシスト、接客までマルチにこなす「マルチタスク化」を導入することで、伝統的な旅館スタイルの無駄を削ぎ落とす。同時に、地元の食材や歴史文化を現代風に再解釈した滞在体験を再設計する。名門としての誇りを残しつつ、収益構造を劇的に転換させるこの再生劇こそが、各地のオーナーから事業継承の相手として指名される最大の理由だ。