フリーザ第三形態の外見的特徴である「前後に長く伸びた頭骨」「鼻のない平坦な顔つき」「剥き出しになった肩の突起」は、映画監督リドリー・スコットの名作『エイリアン』に登場するゼノモーフ(H.R.ギーガー原案)への明確なオマージュとして広く知られています。
鳥山氏は大の映画ファンであり、造形的なグロテスクさを少年漫画のフォーマットに落とし込む天才的な手腕を持っていました。巨大で威圧的だった第二形態(西洋の悪魔や牛を思わせるフォルム)から一転し、得体の知れない宇宙生物のような「不気味な異形」へと変化させることで、生理的な恐怖感を極限まで引き上げたのです。
そしてこの異形を経由したからこそ、その後に現れる最終形態の「無駄な突起をすべて削ぎ落とした、つるりとした白いフォルム」が読者に強烈なギャップをもたらしました。「怪物からさらに醜悪な化け物になる」という読者の予想を裏切り、「最も洗練されたシンプルな姿こそが真の最強」という少年漫画史に残る逆転演出を成立させるための、完璧な布石が第三形態だったと言えます。