資金計画を立てる際、最も着目されるのが費用の格差です。公的施設である特養の費用相場は、居室タイプ(昔ながらの大部屋である多床室か、プライバシーが守られるユニット型個室か)や本人の収入状況によって大きく変動します。多床室であれば月額約8万〜12万円、ユニット型個室でも月額約13万〜16万円が標準的な水準です。さらに、非課税世帯等に対しては「特定入所者介護サービス費(補足給付)」が適用され、居住費と食費の自己負担限度額が引き下げられるため、低所得層でも生活を維持しやすい設計がなされています。
一方、民間施設における最大のハードルとなりやすいのが有料老人ホームの入居一時金です。近年は初期費用0円プランを提示する施設も増えているものの、一般的な有料老人ホームでは数十万円から1,000万円以上、高級施設では数千万円から億円単位に達することもあります。月額費用も施設利用料、管理費、食費、上乗せ介護費などを合わせると20万〜35万円以上が相場となり、特養と比較すると年間で150万〜300万円前後の差額が生じます。
さらに見逃せないのが月額費用の負担割合です。介護保険サービスを利用した際の自己負担割合は本人の合計所得金額に応じて1割〜3割に分かれます。2026年最新の介護保険制度を巡る財政論議においても、高所得層の負担割合見直しやケアマネジメントの有料化議論が継続して注視されており、将来的な自己負担の増大を見据えた資金シミュレーションが求められます。
入居ハードルに関しては、特別養護老人ホーム入居条件が厳格に定められています。2015年の法改正以降、原則として要介護3以上の基準を満たしていなければ申し込むことすらできません(※認知症や家族の虐待等で在宅生活が著しく困難と認められる「特例入所」を除く)。対する有料老人ホームは、自立〜要支援段階から受け入れる「自立型・混合型」から、要介護1以上で受け入れ可能な施設まで門戸が広く開かれています。