スーパーマラドーナ(武智・田中一彦)の漫才が全国に決定的な衝撃を与えたのは、大会が復活した2015年以降のことでした。結成は2003年12月。一度の解散と田中の失踪劇を乗り越えて再結成した二人は、血の滲むようなネタ合わせを重ねて頭角を現します。スーパーマラドーナのM-1歴代成績を振り返ると、2015年からラストイヤーとなった2018年まで「4年連続決勝進出」という、歴代屈指の金字塔を打ち立てています。
なかでもファンの脳裏に焼き付いて離れないのが2016年大会です。準決勝で苦杯をなめた二人は極寒のスーパーマラドーナのM-1敗者復活戦を劇的な支持で勝ち上がり、決勝ファーストラウンドへ進出。そこで披露したのが、いまや伝説的ネタとして語り継がれる「落ち武者(時代劇)」でした。田中の予測不能な奇行に武智が翻弄されつつ、狂気的なスピード感で伏線を回収していく構成で高得点を叩き出し、見事に最終決戦進出を決めました。
そして最終決戦で放った勝負ネタこそが、スーパーマラドーナのM-1ネタ「エレベーター」です。エレベーターに閉じ込められたシチュエーションから、隣のマンションに住むサイコパスな隣人(田中)が武智を精神的に追い詰めていくサスペンス調の漫才は、会場の空気を一変させました。緊張と緩和を極限まで計算し尽くしたこのネタは、審査員の松本人志氏から単独で1票を獲得。結果としてスーパーマラドーナのM-1 2016の最終順位は3位となりましたが、銀シャリ、和牛と繰り広げた「M-1史上最高密度の三つ巴の戦い」は、漫才のひとつの到達点として今なお語り草となっています。