世界を巻き込むクリーンエネルギー争奪戦の最前線で、いま何が起きているのか。実証実験の域を完全に脱し、大型商用船の投入に向けた激戦が繰り広げられている。水面下で蠢く主要企業の裏戦略、そして不可能を可能に変えた技術的突破口に迫った。
これまで業界を悩ませてきた最大の問題は、極低温を維持しながら大量の荷を揺れる船体で安全に保つことだった。容積を800分の1に縮小できるとはいえ、液体水素の温度はマイナス253度。少しの漏洩も許されない極限状態だ。この壁を破ったのが、現場のエンジニアたちが数年かけて積み上げた二重殻構造と超高真空断熱技術である。