杉山邦博氏の足跡を振り返ると、その経歴は日本のテレビ・ラジオ放送史、そして大相撲の戦後発展史そのものと言っても過言ではありません。
静岡県出身の杉山氏は、1953年(昭和28年)にNHKへアナウンサーとして入局しました。栃若時代から柏鵬時代、輪湖時代、そして千代の富士の黄金期に至るまで、数々の歴史的一番を情感豊かな実況で全国のお茶の間に届けました。力士の心情に寄り添い、土俵上の心理戦まで克明に描写する語り口は、NHK大相撲中継の黄金期を築き上げました。
1987年にNHKを定年退職した後は、フリーの相撲ジャーナリストへと転身。民放のワイドショーで大相撲の裏側や力士の人柄をわかりやすく解説し、相撲ファン層の裾野を大きく広げました。東京相撲記者クラブ会友としても長年発言力を持ち、角界のご意見番として確固たる地位を築いたのです。