特別展示室に足を運ぶと、まず目を奪われるのが甲斐源氏の勃興から戦国乱世へと至る緊密なドラマだ。とりわけ武田信玄の軍略や治水事業に関する書状、甲州金の流通メカニズムを示す史料は、当時の社会構造を立体的に照らし出す。展示の裏側に潜む研究者たちのたゆまぬ文献解読が、数百年前に生きた武将たちのリアルな息遣いを現代に蘇らせている。
さらに注目すべきは、甲斐国と徳川家康との深遠な関わりを示す秘蔵資料の公開だ。信玄亡き後の甲斐を巡る攻防や、江戸幕府の統治下に組み込まれた武州・甲州の政治的緊張関係について、考古学の出土品や書状を交えた多角的なアプローチがなされている。文化庁の文化財保存事業とも連携した修復作業により、色鮮やかに蘇った絵図や武具の美しさは息を呑むほどだ。