2000年代初頭、日本のドラマ界に地殻変動を起こした脚本家・宮藤官九郎の代表作において、彼女の存在は欠かせないピースだった。TBSテレビの不朽の名作『池袋ウエストゲートパーク』で演じた主人公・マコトの母親役は、当時の視聴者に強烈な衝撃を与えた。破天荒でありながらどこか憎めない母親像をキュートかつ大胆に体現し、従来の「母親像」を根底から覆してみせたのだ。
さらに続く『木更津キャッツアイ』でも、作品全体に絶妙な軽快さと深みをもたらした。シュールな展開が続くコメディドラマの枠組みのなかで、彼女が漂わせる独特のテンポと抜け感は、若いキャスト陣のエネルギーを見事に受け止め、作品の完成度を一段上の次元へと引き上げた。コミカルな掛け合いの裏にふと見せる哀愁は、まさに彼女にしかなし得ない芸の領域だ。