道玄坂の緩やかな坂を上り、ビルが立ち並ぶ路地裏に店を構える。店主の林茂行氏が切り盛りするこの空間は、徹底したストイックさで知られる。営業時間は昼のわずか3時間半ほど。夜営業は一切行わず、スープの仕込みと一杯の精度を極限まで高めることだけに全精力が注がれている。
タイパや多店舗展開がもてはやされる現代の外食産業において、この徹底ぶりは極めて異例だ。券売機にはサイドメニューやアルコール類のボタンが存在せず、ご飯ものすらない。雑音を削ぎ落とし、純粋にラーメンの旨味と対話するための空間設計が、渋谷道玄坂の喧騒の中に凛とした心地よい緊張感を生み出している。