かつては「問題作」「小品」と見なされることもあった交響曲第9番 (ショスタコーヴィチの作品群のなかでの位置づけは、21世紀に入り劇的に再評価が進んだ。単なる権力への風刺にとどまらず、クラシック音楽の歴史におけるシンフォニーという形式そのものを問い直す知的で先鋭的な試みとして、現在のクラシック音楽業界でも高い頻度でコンサートプログラムに取り上げられている。
現代の聴衆にとって、この作品の持つ二面性——表面上の軽快さと深層にある痛切な批評性——は、多様な価値観が交錯する時代感覚と強く共鳴しているのだ。