「地球の鼓動」という文脈で頻繁に引用されるもうひとつの自然現象がシューマン共鳴です。これは、地表面と上空の電離層(高度約60〜100km)の間に形成される球状の空洞において、世界中で毎秒約50〜100回発生している雷放電を波源として励起される極超長波(ELF帯)の電磁波共鳴現象を指します。
シューマン共鳴の基本周波数は約7.83Hzであり、第2次モードが約14.1Hz、第3次モードが約20.3Hzと続きます。インターネット上では「地球の鼓動が可聴音として聞こえる」「人間の脳波(アルファ波)と同調して精神に影響を与える」といった言説が散見されますが、これらには物理学的な誤認が含まれています。
人間の耳が認識できる可聴周波数は一般に20Hz〜20,000Hzであり、7.83Hzの周波数は耳で直接知覚できません。また、シューマン共鳴は「音波(空気の疎密波)」ではなく「電磁波」であるため、物理的に耳鳴りや環境音として直接鳴り響くことはありません。一部地域で報告される低周波のうなり音(いわゆる「世界怪音・Hum現象」)は、工場設備やディーゼル発電機、長距離高圧送電線、局所的な微小気圧変動などが原因であり、シューマン共鳴とは全く別の物理事象です。