国家機関が神話上の生物について正式な見解を示すのは極めて稀なケースだ。しかし、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は公式ウェブサイト上に「水生人型生物(人魚)が存在するという証拠は見つかっていない」という明快な声明を掲載している。
背景には、一般市民からの問い合わせが殺到した騒動があった。米国のテレビ局が放送した『マーメイド: ザ・ボディ・ファウンド』という映像作品が発端だ。科学的な検証を行う体裁をとったこのドキュメンタリー風フィクション(モキュメンタリー)があまりに巧妙に作られていたため、視聴者の間で「政府が未確認生物の存在を隠蔽しているのではないか」という憶測が瞬く間に拡散した。NOAAはこの誤解を解くため、科学的知見に基づき人魚の実在を完全に否定する声明を出さざるを得なかったのだ。