もし実家が潤沢な資金援助を行えるほどの資産家であったなら、彼の無名塾時代(仲代達矢主宰の俳優養成所)の苦労は説明がつかない。滝藤は20代の頃、仕送りなしで生活するためにアルバイトを掛け持ちし、家賃の安いアパートで爪に火をともすような生活を送っていた。
「仕送りで優雅に暮らす役者の卵」とは程遠い、リアルな泥臭さがそこにはあった。実家に頼ることなく、自らの力で役者としての地位を築き上げたプロセスこそが、彼の演技に深みを与えている。実家が金持ちという噂は、彼が売れてからのスマートな佇まいから後付けされたファンタジーに過ぎない。