教育現場や家庭実験の現場を取材すると、単純に見えるこの実験において毎年のようにヒヤリハット事例が報告されていることが分かります。特に注意すべきは「激しい発熱と液の飛散(突沸)」です。
過酸化水素の分解反応は典型的な発熱反応です。市販のオキシドール(約3%)であっても、一度に大量の二酸化マンガンを投入したり、オキシドールを一気に注ぎ込んだりすると、反応熱によって液温が60℃〜80℃以上に急上昇します。その結果、発生した酸素とともに熱い過酸化水素のミストや水蒸気がノズルや試験管口から激しく噴き出す事故につながります。
文部科学省や各都道府県教育委員会が発行する理科実験安全手引でも、以下の運用基準が徹底されています。
- 保護メガネの完全着用:液の飛散による失明リスクを防ぐため、観察者全員がゴーグルを着用する。
- 水上置換法での確実な捕集:酸素は水に溶けにくいため、気体採取には「水上置換法」を用いる。ただし、実験開始直後の気体には装置内の空気が混ざっているため、最初の試験管1本分は捨てて2本目から捕集するのが鉄則。
- オキシドールの分割投入:二酸化マンガンを入れたフラスコに対し、オキシドールはスポイトや分液漏斗を使って少量ずつ滴下し、反応速度をコントロールする。