全数十巻に及ぶ膨大なシリーズとなった本作は、読書スタイルの多様化によって再び脚光を浴びている。分厚い紙の書籍を何十冊も本棚に並べるハードルを、Amazon Kindleをはじめとする電子書籍が劇的に引き下げたからだ。
さらに注目すべきはAudibleに代表されるオーディオブックの浸透である。通勤中や家事の合間に、緻密な歴史ドキュメンタリーを「耳で聴く」体験が定着した。声優やナレーターの迫真の語りによって、怨霊への恐怖や武将たちの葛藤が立体的なドラマとして立ち現れる。
かつて週刊誌を手に取っていた世代だけでなく、活字離れが叫ばれる若いデジタルネイティブ層が音声を通じてこの知的エンターテインメントに没入している。メディアの枠を超えて物語が伝播する様子は、優れたコンテンツが持つ生命力の強さを証明している。