クール便とは、生鮮食品や精密機器、医薬品など、温度変化によって品質劣化を起こしやすい荷物を、低温状態を保ったまま目的地まで輸送する特殊配送サービスの総称です。一般的にはヤマト運輸のクール宅急便、佐川急便の飛脚クール便、日本郵便のチルドゆうパックなどが代表格として知られています。
普通便との決定的な違いは、集荷から拠点間輸送、ラストワンマイルの配達に至るまで、完全に温度管理された「コールドチェーン(低温物流網)」の中を移動する点にあります。荷降ろしや積み込みを行うターミナルでも専用の保冷作業エリアが用意され、配送車両の荷台内部も常温スペースと隔離された冷凍・冷蔵専用コンテナが稼働しています。
現場のドライバーや物流関係者が一様に強調するのは、「クール便は家庭の冷蔵庫や急速冷凍庫ではない」という事実です。輸送機材の冷気はあくまで外気の影響を遮断して現状の温度をキープするためのものであり、生ぬるい食品を入れても庫内で冷え固まることはありません。この認識のズレこそが、利用者の間で発生する保冷トラブルの最大の原因となっています。