加熱用の牡蠣を食べて体調を崩す最大の要因は、貝内部に濃縮されたノロウイルスである。牡蠣は1日に数百リットルもの海水を吸排して栄養分を摂取する構造を持つ。このプロセスで海水中にある微細なウイルスが中腸腺と呼ばれる臓器に蓄積していく。生食用として流通するものはウイルスが少ない指定海域で採取されるか、無菌海水の浄化設備で一定時間殺菌されたものに限られる。
一方、加熱用牡蠣はウイルスが存在する可能性のある海域で採れたものが多く、十分な加熱調理を前提として販売されている。つまり、鮮度が落ちているから加熱用なのではなく、最初から菌やウイルスの保有リスクが高い場所にいたかどうかが「生食用牡蠣」との違いなのだ。この基本構造を誤解していると、加熱不足による食中毒を引き起こすことになる。