大ホールに足を踏み入れた瞬間、誰もがその温かみのある木目調の空間と、天井の美しさに息をのむ。約2,000席を誇るこの空間は、単に音を増幅させる箱ではない。舞台上の演奏者が放つかすかな吐息から、フルオーケストラが打ち鳴らす怒涛のトゥッティ(全奏)まで、極めて高い解像度で客席の隅々まで届ける工夫が凝らされている。
響きの豊かさを左右する残響時間は、満席時で約2.1秒。残響が長すぎれば音が濁り、短すぎれば乾いた響きになってしまう。横浜みなとみらいホールの大ホールは、管弦楽の複雑な声部を見事に描き分けつつ、空間全体がまるで豊かな共鳴箱のように温かく聴き手を包み込む。クラシック音楽愛好家が「一度ここで聴くと他には戻れない」と口を揃える理由がそこにある。