本作の成功を支えたのは、池井戸潤の緻密な原作もさることながら、演出の福澤克雄氏が仕掛けた「顔芸」と「歌舞伎的演出」である。香川照之や片岡愛之助、市川猿之助といった歌舞伎界の異能たちが繰り出す過剰なまでの演技バトルは、それまでのリアル志向のテレビドラマの常識を覆した。
大げさな身振りと、画面いっぱいに映し出される役者たちのクローズアップ。それはまさに、現代のテレビ画面を舞台に見立てた「平成・令和の歌舞伎」だった。このデフォルメされた世界観が、視聴者の視線をテレビ画面に釘付けにし、チャンネルを変えさせない強力な磁力となった。