胡蝶しのぶというキャラクターの最大の特徴は、「常に絶やさない柔和な笑顔」と「心の奥底で燃え盛る鬼への激しい憎悪」という二面性にあります。早見沙織はこの難易度の高い心理描写を、絶妙なトーンコントロールで見事に成立させました。
アニメ初登場となった「那田蜘蛛山編」では、鈴を転がすような優しい語り口でありながら、一切の容赦なく鬼を追い詰める残忍さを同居させ、視聴者に強烈なインパクトを残しました。ネットの反応でも「しのぶさんの声、優しすぎて逆に鳥肌が立つ」「美しさと狂気のスレスレをいく名演」と絶賛の声が相次ぎました。
ファンの心に深く刻まれている名セリフの数々でも、その演技力の幅広さを確認できます。
・「もしもーし、大丈夫ですか?」
・「人も鬼もみんな仲良くすればいいのに」
・「こんばんは、今宵は月が綺麗ですね」
・「自分の絶対に敵わない悪に立ち向かう時にこそ、人の力は試されるのです」
・「とっととくたばれ 糞野郎」
上品なお姉さんボイスから、炭治郎に本音を打ち明ける際の吐息交じりの切ない声音、そして激情を露わにする低音まで、台詞ひとつでキャラクターの内面世界を立体的に描き出す技術こそが「しのぶ役は早見沙織以外に考えられない」と言わしめる最大の理由です。