「今でもドアの向こうには組事務所があるのではないか」というネット上の憶測は、現在の法制度と管理体制を照らし合わせると事実とは異なります。転換点となったのは、2011年に完全施行された東京都暴力団排除条例の存在です。
同条例および賃貸借契約における暴力団排除条項(暴排条項)の標準化によって、暴力団員が身分を隠して部屋を賃貸・所有することは詐欺罪の摘発対象となりました。さらに警視庁組織犯罪対策部による集中的なアジト摘発キャンペーンが展開された結果、管理組合側も弁護士と連携して明渡し請求訴訟を相次いで提起。公式記録や報道資料が示す通り、公然と看板を掲げた暴力団事務所はすでに一掃されています。
しかし、歌舞伎町を取り巻く犯罪構造そのものが消滅したわけではありません。従来の伝統的ヤクザ組織が退潮した一方で、近年はSNSを介して離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(通称:トクリュウ)」の活動拠点が問題視されるなど、形態を変えたグレーな潜伏形態への警戒は2026年現在も続いています。