浮遊感を感じた際、最も警戒しなければならないのは脳血管障害や脳腫瘍などの「中枢性めまい」です。小脳や脳幹は身体のバランスを司る中枢であるため、この部位の血流が途絶えたり出血が起きたりすると、激しい回転を伴わずに「ただ体がふわふわ揺れて真っ直ぐ歩けない」という症状だけが先行することがあります。
以下の症状(レッドフラッグサイン)が1つでも認められる場合は、様子見を一切排除し、迷わず救急車を呼ぶか緊急で脳神経外科を受診してください。
- 運動麻痺・脱力感:片側の手足に力が入らない、持っている箸やスマホを落とす
- 構音障害・嚥下障害:ろれつが回らない、舌がもつれる、飲み込みにくい
- 視野・視覚異常:物が二重に見える(複視)、片側の視界が欠ける
- 激しい頭痛:経験したことのないような後頭部の激痛や締め付け感
- 歩行困難:壁に手をつかないと倒れてしまう、足元が千鳥足になる
一方、立ち上がった瞬間にスーッと血の気が引き、頭が軽くなって浮遊感を覚える現象は、俗に「脳貧血」と呼ばれる起立性低血圧や起立性調節障害の典型的な経緯です。血液検査で赤血球やヘモグロビン値が低い貧血(鉄欠乏性貧血など)とは異なり、下半身から心臓や頭部へ血液を押し戻す自律神経の血圧調整反応が遅れることで、一時的に脳への酸素供給が不足して起こります。
医療機関で行われる検査としては、脳神経外科での頭部MRI/MRA検査(脳梗塞や血管狭窄の有無を画像で確認)、耳鼻咽喉科での赤外線CCDカメラによる眼振検査(目の無意識な揺れを観察)や重心動揺計検査(足元のふらつきパターンを数値化)などが実施され、原因の切り分けが進められます。