本作が読者の間で「閲覧注意」「湊かなえ作品で最も精神を削られる」と評される最大の要因は、容赦のないリアリズムにあります。子どもの視点から描かれる家庭内暴力や育児放棄、学校内でのいじめの構図は、読者に強烈な息苦しさを与えます。
特に、大人たちの身勝手な欲望や無関心によって追い詰められていく子どもたちの姿は、目を背けたくなるほど生々しく描写されます。「子どもの世界には逃げ場がない」という閉塞感を極限まで突き詰めた筆致は、イヤミスとしての完成度を極限まで高めていると同時に、多くの読者に忘れがたいトラウマを植え付けました。
一方で、読書メーターやレビューサイトの感想・評判を見ると、単なる不快感にとどまらず「途中で本を置くことができなかった」「徹夜で一気読みした」という声が圧倒的多数を占めています。残酷な描写の連続でありながら、ページをめくる推進力を失わせない構成美こそが、作家・湊かなえの真骨頂です。