「知恵熱」という言葉には、どこか風情すら漂う。赤ちゃんが周囲の人間や物事を認識し、脳が発達するストレスで熱を出す——そんなストーリーが長年信じられてきた。だが、これは明確な誤解である。
最新の医学研究が明らかにしたのは、知恵がつく時期と赤ちゃんの発熱が重なる本当の理由だ。生後6ヶ月前後の乳幼児は、体内に残っていた母親由来の移行抗体が激減する。免疫のバリアが低下したタイミングで外部のウイルスに初めて接触するため、この時期に高熱を出す頻度が跳ね上がるのだ。知恵がついたから熱が出ているのではない。免疫の過渡期に晒されているという生理的現象に過ぎない。