原作漫画の緻密なロジックを忠実に再現した一方で、ドラマ版では地上波連続ドラマとしてのエンターテインメント性を高めるための脚色が施されました。その中でも最大の焦点となったのが、風呂光聖子(伊藤沙莉)の設定変更です。
原作における風呂光は、出番が限定された一人の若手刑事に過ぎず、整に対して恋愛感情を抱く描写は存在しません。しかしドラマ版ではヒロインポジションとして出番が大幅に増やされ、原作では別の警察関係者が担っていた役割が風呂光に統合されました。さらに、整に対して淡い好意を寄せるような演出が追加されたことで、放送当時は原作読者を中心に賛否両論の議論が巻き起こりました。
制作サイドがこの改変に踏み切った背景には、1クールを通じた縦軸の人間ドラマを強化し、警察内部の視点から整の特異性を浮き彫りにする狙いがあったと分析されています。結果として、伊藤沙莉の繊細な演技力によって「組織で葛藤する働く女性のリアリティ」が見事に表現され、ドラマ独自の推進力として機能することとなりました。