17世紀から18世紀にかけて名匠アントニオ・ストラディバリの手で生み出された至高の逸品は、現在数十億円の値がつく芸術的資産だ。このような歴史的価値を持つ名器を数える際、オークションハウスやコレクターの間では「1挺のストラディバリウス」という呼び名が自ずと選ばれる。歴史の重みと職人の魂が込められた一振りの刀剣のごとき価値を表現するには、「挺」こそが最も相応しいからだ。
一方で、大量生産が可能な現代の工房や販売代理店など、弦楽器製造業の流通現場に目を向けると、在庫管理システム上は「1台」「1点」という単位で処理される。ミリ単位の精度で設計される現代の製品と、過去の偉大な巨匠が遺した奇跡の逸品。同じバイオリンでありながら、その資産価値や希少性に応じて呼び分けられる単位の落差は、非常に興味深い現象と言える。