アンドロイドSAORIという存在が一夜にして世界的な脚光を浴びたきっかけは、幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2017(TGS2017)でした。PlayStation 4用ゲームソフト『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』の特設ブースに登場した彼女は、作品内に登場する最新型アンドロイド「AP700」のプロモーションモデルを務めていました。
ガラスケース越しに来場者を見つめ、時折微笑みを浮かべながら規則正しく視線を移すその姿は、皮膚の質感こそ人間であるものの、まばたきの頻度や関節の静止動作があまりに人工的でした。会場を訪れた来場者が撮影したショート動画がX(旧Twitter)や海外掲示板のRedditに投稿されると、「本物のサイボーグが完成したのか」「不気味の谷現象を完全に越えている」と驚愕の声が殺到し、瞬く間に数千万回再生を記録したのです。
後に明かされたところによると、この完璧なパフォーマンスはCGや特殊効果ではなく、綿密な身体制御と徹底した人間観察による純粋な演技力でした。呼吸による胸の上下動を最小限に抑え、眼球のサッカード運動(急速眼球運動)をコントロールするという、常人離れした表現技術によって生み出された奇跡の瞬間だったと言えます。