防衛省が発行する公式ポスターといえば、かつては戦闘機や護衛艦、迷彩服を着た隊員の勇姿をストレートに伝える重厚なビジュアルが主流でした。しかし現在、駅のコンコースや高校・大学周辺で見かけるポスターは、一見すると新作アニメや映画の告知と見紛うほどポップな仕上がりを見せています。
最大の理由は、18歳から30代前半における募集対象人口の急減と、民間企業との激しい採用競争です。どれほど崇高な防衛任務や充実した待遇をアピールしても、まず視線を留めてもらえなければ選択肢にすら入りません。「硬い・遠い・自分には関係ない」という先入観を打破し、若年層の日常生活の延長線上に自衛隊というキャリアを提示するための「ファーストコンタクト戦略」こそが、斬新なデザインを採用する根本的な動機です。
さらに、有名タレントや人気モデルの起用には、志願者本人だけでなく保護者や教員に対する安心感を醸成する狙いも込められています。インパクト重視のイラストで若者の興味を引き、信頼感あるタレントビジュアルで周囲の理解を得るという、精緻に計算された二段構えの広報設計が敷かれています。