2014年のブラジルW杯前後、本田の容姿に明らかな変化が見られた。目が以前よりも突き出ているように見え、首元には横一文字の生々しい手術痕。ファンやメディアは騒然とした。「レーシック手術の後遺症か」「重病を患っているのではないか」。憶測が憶測を呼ぶ中、彼は沈黙を守りつつも、ピッチで結果を出し続けた。後に明らかになったのは、甲状腺機能亢進症、いわゆるバセドウ病との闘いだった。
プロのサッカー選手にとって、身体は資本そのものだ。動悸や息切れ、異常な発汗、そして急激な体重減少。バセドウ病の代表的な症状は、極限の体力を求められるアスリートにとって、選手生命を脅かす致命的な牙となる。本田はその苦痛を抱えながら、ACミランの「10番」を背負い、世界のトップで戦い続けていたのだ。