被害者が資金を差し出すまでに辿るルートは、驚くほどマニュアル化されている。彼らが用いる心理シナリオは心理学の専門家も舌を巻くほど周到だ。
第一段階は「ラブロミング(愛の爆撃)」だ。InstagramやX、マッチングアプリで接触した直後から、圧倒的な量の情熱的なメッセージを送り続ける。第二段階で会話の舞台を即座にLINEやWhatsAppなどのプライベートなチャットアプリへと移行させ、第三者の目から遮断する。
第三段階で始まるのが「成功体験の共有」だ。「将来の二人のマイホームのために」「君にも豊かな生活を送ってほしい」と囁き、偽の暗号資産プラットフォームでの少額投資を勧めてくる。初期段階では実際に数万円程度の利益を出金させ、信用を完全に植え付ける。そして最終の第四段階、退職金や金融機関からの借入金を巻き込んだ数千万円規模の送金が行われた瞬間、相手の画面は二度と更新されなくなる。