波乱に満ちた佐藤愛子氏の私生活において、最大の理解者であり伴走者となったのが実娘の杉山桃子氏です。前夫の借金地獄のなかで女手一つで育て上げられた桃子氏は、母にとって単なる「守るべき子ども」にとどまらず、人生の荒波をともに乗り越える戦友でもありました。
著作のなかでも度々登場する母娘のやり取りは、決して甘ったるいものではありません。歯に衣着せぬ物言いで互いの痛いところを突き合い、時に大喧嘩をしながらも、底知れぬ信頼で結ばれている様子がユーモラスに描かれています。
晩年、百歳を超えて施設での生活に移る際にも、生活全般のサポートや出版関係の窓口として母を支え続けた桃子氏の存在がありました。依存し合わず、互いに精神的な独立を保ちながら助け合うその関係性は、現代の家族が直面する介護問題や親子関係のあり方に対しても重要なヒントを示しています。