彼女の足跡を振り返る上で、切っても切り離せないのが亡き夫・勝新太郎の存在だ。名門・大映の看板女優としてキャリアをスタートさせた中村玉緒は、映画『悪名』シリーズをはじめとする数々の名作時代劇に出演し、日本映画界の黄金期を文字通り華やかに彩った。
型破りで破天荒な天才俳優・勝新太郎を妻として陰で支え続けた壮絶な半生は、まさに事実は小説より奇なりを地で行くドラマに満ちていた。幾度となく押し寄せた巨額の借金や周囲の騒動に見舞われながらも、一度たりとも夫を見捨てることなく添い遂げた彼女の寛容さと深い愛は、今なお語り継がれる伝説だ。映画界からお茶の間へと主戦場を移した後も、その芯の強さと凛とした女優魂は決して失われることがなかった。