東京・品川に生まれた遠藤憲一の青春時代は、決して平坦なものではなかった。入学した高校をわずか10日で中退。勉強への疑問や、当時の窮屈なシステムに対する反発があったという。そこからはアルバイトを転々とする日々が始まった。段ボール工場、喫茶店、配送助手。何をやっても長続きせず、心の中には常に「自分は何者になれるのか」という焦燥感が渦巻いていた。
転機が訪れたのは18歳の時だ。たまたま求人誌で見かけた劇団「東京キッドブラザース」のオーディション。演技の経験など全くなかったが、直感だけで応募し、合格を勝ち取る。しかし、現実は甘くなかった。厳しい稽古と人間関係に悩み、劇団もまた短期間で退団することになる。それでも、この時に浴びたスポットライトの光が、彼の役者魂に火をつけたのは間違いなかった。