カンカンカン、と高らかな金属音が厨房に鳴り響く。「この店の真骨頂はチャーハンにある」と、30年通う常連客は声を弾ませる。強火で一気に煽られた米粒は、ラードの膜を纏ってパラパラと解けつつ、内部にはしっとりとした旨味を閉じ込めている。
塩加減は絶妙。醤油が焦げる香ばしい匂いが立ち上った瞬間、一気に皿へと盛り付けられる。一見するとどこにでもある大衆中華の炒飯だが、火力の見極めと手首の返しは一朝一夕で身につくものではない。機械調理や自動化が進む現代だからこそ、職人の手わざがもたらす一皿の価値が際立っている。