日本映画が世界で爆発的な評価を獲得し始めた1950年代、彼女は歴史に名を刻む傑作に出会う。三船敏郎が主演を務めた稲垣浩監督の映画『宮本武蔵』だ。お通役を演じた彼女の繊細な表情変化と、主人公を健気に想い続ける静かな情熱は、海外の映画人をも感嘆させた。
本作は第28回アカデミー賞で名誉賞(現在の国際長編映画賞に相当)を受賞。当時の欧米メディアは、豪快な時代劇のダイナミズムと対比させる形で、彼女が体現した「東洋の理想的な女性像」の美しさを絶賛した。単なるヒロインにとどまらず、世界に日本女性の真の気品を知らしめた伝説の一幕と言える。