音楽のみならず、日本映画界においても彼が残してきた足跡は破格の重みを持つ。長谷川和彦監督の伝説的傑作『太陽を盗んだ男』(1979年)で見せた、原爆を手作りする孤独な理科教師役の鬼気迫る怪演は、今なお邦画史の金字塔として語り継がれている。
そして近年、俳優・沢田研二の評価はさらなる円熟期を迎えた。志村けんの遺志を継ぐ形で主演を務めた山田洋次監督の『キネマの神様』では、ギャンブル好きで自堕落ながらも映画を愛し続ける老人を哀愁たっぷりに体現。
続く主演作『土を喰らう十二ヵ月』では、信州の山荘で土を耕し、四季折々の食材を料理して生きる作家・ツトムを静謐に演じ切った。台所で見せる無駄のない手つきや、生と死を見つめる澄んだ瞳。余計な芝居を削ぎ落とした佇まいは、観る者の胸に深く染み渡り、数々の映画賞で絶賛を浴びた。