現地を歩くと、かつてあった老朽店舗の跡地がひとつに集約され、巨大な建築計画看板が立てられているのが目に入る。「南大塚1丁目再開発プロジェクト」――これが、いまこの地域で囁かれている構想の中心だ。豊島区長もまちづくりの未来像に関する会見で、池袋周辺だけでなく大塚エリアの回遊性向上と防災機能強化の重要性を度々口にしている。
ある都市計画家はこう指摘する。「ここは木造住宅密集地域の解消という長年の防災課題を抱えていた。今回のプロジェクトは単なる高層化ではなく、歩行者空間の整備とグリーンインフラの導入を軸に設計されている」。だが、長年ここに住む高齢の店主は少し寂しげだ。「街が綺麗になるのはありがたい。でもね、昔ながらの隣所付き合いが消えてしまわないか、それだけが心配なんだよ」と本音を漏らす。