ガラスケースの中に閉じ込められた静寂な美術品——ここにある車たちは、そんな退屈な扱いを断固として拒否している。このミュージアム最大の凄みは、ほとんどの展示車両が「今も走れる」動態保存状態に維持されている点にある。
定期的に実施されるエンジン始動イベントや特別走行では、V8やV12、水冷直4ターボといった名機たちが生の重低音を周囲に轟かせる。ピストンが跳ね、未燃焼ガソリンが爆ぜるシリンダーの音。メカニックたちが日夜オイルまみれになって磨き上げるクラフトマンシップがあるからこそ、ここでは歴史が過去形ではなく、進行形として脈動し続けている。