マイケルという複雑極まりない男に魂を吹き込んだのは、俳優ウェントワース・ミラーだ。大声を張り上げることもなく、感情を無用に爆発させる場面も少ない。しかし、微かに動く視線や、沈黙の合間に見せる葛藤の表情が、彼の内面にある圧倒的な知性と孤独を雄弁に物語っていた。
「潜在抑制欠如」という心理的特性を持ち、他者の苦しみを己のことのように受け止めてしまう過敏な感受性。それが彼を天才的な設計者であると同時に、常に自らを犠牲へと追いやる悲劇のヒーローに仕立て上げた。ミラーが見せた透明感あふれる演技美は、20年が経過した今もなお後続の俳優たちに多大なインスピレーションを与え続けている。