1980年代初頭、音楽シーンには新たな風が吹いていた。パンクの初期衝動を引き継いだニュー・ウェーブが世界中を席巻し、ポップ・ミュージックの定義そのものが塗り替えられようとしていた時代だ。その真っ只中で放たれたデビュー曲「Girls Just Want to Have Fun」は、もともと男性シンガーソングライターによって「男に振り回される女性」の視点で作られた楽曲だったという。
しかし、彼女はその歌詞とアレンジを大胆に書き換えた。女性たちが自分らしく楽しみ、自由を謳歌するアンセムへと昇華させたのだ。カラフルな衣装を纏い、ストリートを軽やかに跳ね回るMVは、当時のMTVブームにも乗り世界的な現象となった。80年代ポップスを代表するこの一曲は、単なるパーティーソングではなく、抑圧に対する軽やかな反逆の狼煙だった。