ガス漏れがなぜ恐ろしい事態へと突入するのか。その理由は、気体特有の広がりやすさと「爆発限界濃度」という物理的条件にある。日本の都市ガス・LPガス事業においては、本来は無臭であるガスに特有の臭気(メルカプタン類)を意図的に添加し、万が一の漏洩に人間がすぐ気付く仕組みを導入している。しかし、換気扇の吸気口付近や家具の隙間などに気体が溜まると、人は嗅覚の慣れによって危険の察知が遅れるケースが後を絶たない。
総務省消防庁が発表している災害統計や事故原因の分析を見ても、ガス機器の接続不備や配管の経年劣化、ならびに工事現場での誤掘削が引き金となる事例が目立つ。東京ガス株式会社をはじめとする大手事業者は、定期的な安全点検やインフラの全面刷新を推し進めているが、個人の敷地内や屋内の設備管理までは完全に網羅しきれないのが現状だ。わずかな隙間から漏れ出た気体は、静電気や冷蔵庫のコンプレッサー作動音すら引火源に変えてしまう。